平成31年4月、本校は約一世紀に渡る女子教育の伝統を打ち破って「共学化」へと移行しました。
学園の創始者である柴田やす先生が築かれた、女子教育の殿堂である「柴田学園」の歴史を変えるのは、大変勇気がいることでした。背景には、近年の全国的な少子化のあおりを受け、生徒数の減少が大きく影響したのは事実です。
しかし、時代が「男女共同参加」及び「ジェンダーフリー」の社会通念を示しており、また、現代は、多様なコミュニケーション能力や自分と異なる他者と協働する力を身につけさせて、グローバルな社会に対応できる人材を育成することが学校教育に求められており、「別学」に固執する必要性がないと判断しました。
「共学化」実現に向けて、教職員は様々な取り組みを行いました。
数年にわたって「校内研修会」で将来構想を話し合い、実際に「共学化」した高校を視察するなど綿密に調査し、2017年からの2年間で教職員が一致団結し「共学化」の準備を進めました。
2007年4月 | 校内研修会 「柴田女子高等学校の将来構想」~学校存続と発展のための分析と考察~ |
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2010年8月 | 校内研修会 「盛岡女子高等学校視察報告」~本校の進むべき未来・改革 |
2016年4月及び8月 | 校内研修会 「柴田女子高等学校の将来構想」~生徒数確保のための分析と考察~ |
2017年5月 | 盛岡誠桜高等学校視察・青森明の星高等学校視察 ※共学化調査 |
2017年7月 | 校内研修会 「本校の将来構想」~生き残りをかけた対策について~ |
2017年8月 | 校内研修会 「本校の将来構想」~共学化に向けて~ |
2018年2月 | 評議員会・理事会 「共学化」承認 |
2018年3月 | 保護者会 「共学化」説明会 |
2018年3月 | 記者会見 「共学化」発表 |
2018年6月 | 記者会見 新校名「柴田学園高等学校」発表 |
2018年7月 | 共学化説明会 中学生・保護者・中学校関係者への「共学化」説明会 |
2018年8月 | 施設設備の改修工事 男子トイレ増設及び給湯室の設置 |
2018年9月 | 体験入学 「共学化」説明・新制服発表・体験授業・体験入部 |
2019年4月 | 「柴田学園高等学校」入学式 「共学化」スタート |
2019年「共学化」スタート
新制「柴田学園高等学校」誕生
「伝統」を受け継ぎ 新しい「未来」を拓く
2018年5月、県教委への申請を終え、正式に平成31年(2019年)4月から本校の「共学化」がスタートしました。
2018年7月7日に行われた「共学化説明会」及び、9月29日に行われた「体験入学」には、たくさんの男女中学生の皆さん、保護者様、ご担当の先生方にご出席いただきました。特に「体験入学」は、男子生徒約60人に加え女子生徒も急増し、昨年の倍近い参加での学校紹介となりました。
「共学化」して男子生徒を受け入れるにあたって、その主軸に「男子バスケットボール部」の強化を据えました。それは、女子で築き上げたバスケットボールの実績及び環境を男子にも活かして、「目的を持って主体的に生活する生徒」を学校の根幹にする目的があったからです。
また、津軽地方の中学校では、優秀選手が多数県外の高校に流失していることもあり、男子バスケットボール部の強化を謳う弘前地区の「私立高校」への期待が、数多く寄せられていたこともありました。
事実、「共学化」元年、第一期生男子51名の入学生の内、バスケットボール部への入部者は19名にも及び、その中に、県選抜を中心とした強力なメンバーが10名以上も入学してくれました。
1年目、入学してすぐの5月の春季大会は2回戦敗退となりましたが、6月の県高校総体はベスト8に進出、10月のウインターカップ予選では、1年生のみのエントリーでベスト4入りを果たす活躍でした。「柴田学園高等学校」第一期生となる男子生徒の活躍に、学校・学園全体が大きな期待を寄せています。
まだ何の実績もない本校に、大きな「夢」を持って集まってくれる生徒たちに、充実した高校生活を送ってもらう。そして、それぞれの新しい「未来」に向かって歩き出してほしい。そのために、教職員一丸となって、新制「柴田学園高等学校」の学校づくりにまい進していく覚悟です。
可能性は無限大 輝く自分に会える
- 主体的に学ぶ「向上心」
- 他者を理解して共に協働する「協調性」
- 厳しい実社会を生き抜くための「人間力」
本校はこの三つを柱に、「豊かな情操」と「確かな教養」を身につけさせ、厳しい実社会を生き抜く自立した立派な社会人の育成を目指します。
「柴田学園高等学校」
2019年4月 男子51名 女子109名 合計160名入学
「笑顔」「元気」「勇気」が倍増
- 男女共同参画社会やジェンダーフリーの社会通念に鑑み、多様なコミュニケーション能力や自分と異なる他者との協働する力をつけさせて、グローバルな社会に対応できる人材を育成する。
- 生徒激減期に対応して生徒数を確保し、安定した教育条件を供給できるようにする。
- 本校の教育内容をよく理解し、目的意識を持って主体的に学ぶ生徒に対して、適応する教育環境を提供する。
以上を目標に掲げてスタートしましたが、全てが「手探り」の状態でした。
「95年以上も女子教育一筋の学校に、果たして男子の指導ができるだろうか」
常にこのような不安を抱えての1年間でしたが、実際の「共学化」でこの不安は払しょくされ、学校が大きく変わりました。
男子が入学することで、今まで経験したことがなかったトラブル等を心配しましたが、素直で元気な男子生徒は、清楚で誠実な女子上級生と見事に融合し、明るく活発な学校に進化しました。象徴的なのは、昼休みの体育館。1年生から3年生まで、男女関係なく隙間がないほどあふれかえり、絶叫が飛び交っていました。
51名の男子は、早速、部活動に加入。バスケットボール部はもちろん、バドミントン部、バレーボール部、弓道部、柔道部に男子が参加、また、陸上競技部の復活、サッカー同好会の新設など、一気に賑やかになりました。今後、学年がそろうごとに部員の数も増え、ますます学校全体が活性化され盛り上がっていくものと期待しています。と同時に、活動環境や設備の整備・新設などに取り組むことが学校全体の課題になります。
「共学化」2年目(2020年4月)
2020年3月から、新型コロナウイルス感染症の影響による、学校の休業要請に引き続き、「緊急事態宣言」の発令による自粛で社会全体が閉塞状況に陥っている中での、「共学化」2年目のスタートとなりました。
今年度は、男子40名 女子129名 合計169名の入学と、昨年度を若干上回ったものの、男子生徒の入学が減少したので、少し寂しいスタートとなりました。
4月7日、「入学式」は、来賓の出席を取りやめ、保護者は教室で待機して放送による参加となりましたが、169名の新入生全員が出席して厳粛な式を挙行しました。
全校生徒数は倍増しましたが、コロナウイルスの影響により、まだ全校生徒が顔を合わせることができていません。
再度の学校休業措置の後、5月7日に再開されましたが、もうしばらくは自粛型の学校生活となります。全国インターハイや様々な行事が中止される未曽有の事態となっていますが、コロナウイルスが終息した時には、また賑やかな学校生活が戻るものと確信しています。
令和3年度 「共学化」が完成
令和3年4月、全学年で男女が揃い「柴田学園高等学校」の「共学化」が完成しました。
同時に、令和3年度は、系列校である東北女子大学が柴田学園大学、東北女子短期大学が柴田学園大学短期大学部へ改名し、「共学」となりました。高大連携を中心とした「柴田学園」の新しい学びのスタイルが体現します。「保育士」「栄養士」「医療管理秘書士」「ビジネス実務士」「幼稚園教諭」「小学校教諭」「中高家庭科教諭」「管理栄養士」など、将来につながる学びの選択肢が大きく広がります。まさに、自分の将来の「夢」に向かって大きく羽ばたくチャンスとなります。
高等学校の「共学化」は、このように「柴田学園」全体の教育改革の方針の中にあります。「共学化」が完成する令和3年度。本校は、さらなる飛躍を期待しながら、その土台となる「学校づくり」を、全校一丸となって頑張っています。
